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わきあがる思い


 「星に願いをーー、いつかは叶うーーー」という歌がありますが、このような無邪気な心はいつしか年を重ねるごとに失っていくものでしょうか?
 信じていたものが崩れていくことに多く出会った数だけ、心の中から消滅していくとしたら、あまりにも悲しいことかもしれません。
しかしほとんどの人たちはそれさえ、当たり前のこことしてすでに疑問にも感じないほどになっているかもしれません。

 あるときにこういう体験をした人がいました。ロンドンのホテルに泊まったときだそうです。
 チェックアウトをしてタクシーに乗ろうとしたとき、ホテルマンがその人のトランクをタクシーのトランクに入れようとしていました。思わず、「そのトランクはわたしのものではない」と告げたところ、ホテルマンは「いいえあなたのです!」と言います。もう一度、自分のものではないことを告げると、怒った顔をして「いいえあなたの部屋にあったトランクをわたしが持って下りたから間違いはありません。これはあなたのトランクです!」と言います。でもどうみてもそれは自分のトランクではないのですが、あまりにホテルマンがそうだと言いきるもので、妙な気分になってきて、もしかしたらこのトランクは自分のかもしれない、と思い始めたとき、ふと見るとそのトランクに人の名前が書いてあったので、「やっぱり違います。ほらわたしの名前ではありませんよ」と言ったところ、やっと「あれ?」という顔になり、急いでどこかへ消えたかと思うと、やっとその人のトランクをもってこられたそうです。それでも一切謝ることはなかったそうです・・・。

 一件落着してホテルを立ち去ったそうですが、「ああいう状況のとき自分の方が正しいのに、相手があまりにもすごい勢いで間違いを正しいと言いきったり怒鳴ったりすると、人間の心は萎縮して、自分の方が間違っているような錯覚に陥るものですね」と言われていました。
 「もし自分の日常にこういうエネルギーを出す人が周りに常にいたとしたら、知らず知らず影響を受けて、だんだんと自分がなくなっていき、黒いものが白、白いものが黒と見えたり感じたりするようにならないとも限らないよ、・・・」とも言われました。
 美しいものを美しいと感じ、醜いものを醜いと感じるような正常で健康な心を、つまり自然な人間らしい心を常に持ちつづけたいと思います。100人中99人が赤を黄色と言いきったとしても、勇気をもって「いいえそれは赤だとおもいますよ」と言える強い信念のある心や感性でいたいものです。

 コロンブスは、その当時スペイン中の人が地球はまっすぐで海の向こうは無限であり悪魔が支配していると信じていた頃、じっと海の彼方を見ながら「いいや、地球はまっすぐではなく海の向こうに必ず大陸があるはずだ」と言い、地球はまるいと表現したそうです。
  その大陸に行ってみたいと嘆願し、ついに女王の許可をもらって航海に出たそうです。

 現在の文明、文化、医学、科学、の発展の節目には、ほとんどの人が思いつかないことや、否定したことに屈しないで、自分の直感や感性を信じきって、行動を起こした方たちがいたからこそと思わずにはおられません。
 コロンブスの発言の危険性を察知した友人がその言葉を止めようとしますが、彼は「この湧きあがる思いは誰にもとめられない!」と答えます。 「湧きあがる思い」 理屈もなく自然に湧きあがる思いです。子供の頃にあったはずの「湧きあがる思い」です。夢中になれ、すばらしい集中力を生み出します。 なぜ大人になると薄れていくのでしょうか? そしてそのことになぜ、誰も疑問を持たないのでしょうか?
 80歳まで平凡な生活を送っていた人が突然、画家として活躍したり、還暦(60歳)を迎えて急に湧きあがる心を感じて留学したり、よくみると周りに湧きあがる思いに、正直に行動を起こしている人もいるようです。
 では自分はどうなのか?
 自分の日常での生きかたはどうなのでしょうか?自分をもっと大切に愛してみてはどうかと思うのです。 今までに聞いたことのある自分という言葉でもなく、自分のことは知っていますよという自分ではなく、まったく新しい感覚で、常に無限に湧きあがるものをもっている神秘な魅力的な自分のことをです。
 ソクラテスは「 外なる我と内なる我」という言葉を使ったそうです。人間の一生は常に内なる我に向かっていくべきと信念をもって言われたそうです。 その内なる我(自分)が湧きあがらせるエネルギーを持っています。 学歴や育ちや年齢に関係なく誰にでもある内なる自分です。 そんな自分なんだとおもえば人間とはすばらしい生命体であり、生きるということも味わい深いものということになります。 理屈でもなく理論でもなく、実際としてそれを感じ取れる日常であり人生でありたいと思います。 ちょっと深呼吸し、息を整えて、自分の内を見つめ、自分のことを真剣に考えるべき時代がきたように思います。
 それぞれどんな21世紀の始まりを送ることができるのか? それを決めるのはどうやら人ではなく結局自分の意志ということになるようです。


かがやく女性の輪代表 

夏木ルミ子